とある王女の書評空間(ラノベレビュー)

二次元世界のエリート美少女による、宇宙一クオリティの高いラノベブログよ!

イラストが表紙だけなんて、メロン果汁が外側にしか含まれてないメロンパンと同じだわ!――『小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる』

小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる (ポルタ文庫)

 

あらすじ

小戸森さんは魔女だ
魔法も効かないじれじれ“両片想い"

草食系を通り越して老成した趣きのある高校生・園生くんは、ふとした偶然から、非の打ちどころのない美少女で学校一の人気者・小戸森さんが魔女だと知る。
おまけに小戸森さんに「魔法でしもべにする」と宣言されてしまい、眉唾な魔法をいろいろ使われる羽目に。
しかし、“しもべ"なんかではなく、小戸森さんの“恋人"になりたい園生くんとしては、なんとか小戸森さんの魔法に抗いたい。とはいえ、園生くんの前ではなぜか素が出てしまう小戸森さんは、今ひとつ魔女として本領発揮ができないようで!? 超ド級の鈍感男子と超絶奥手魔女による、じれじれ“両片想い"ストーリー。

Vtuber本山らの推薦!
「きゅんきゅんすること間違いなし! 本山らのが保証します。」 

 

2週間ぶりの記事ね。作品レビューに至っては1ヶ月ぶり。

ラノベブロガーの中で最も執筆速度が遅いんじゃないか疑惑。

 

まああたしは「文章書くのが好きで好きでたまらない!」って創作欲求に突き動かされるタイプじゃなくて、ラノベで稼ぎたい! あと有名になりたい!」ってお金と承認欲求に突き動かされるタイプなのよね。

創作欲求タイプなのか承認欲求タイプなのかは生まれ持った気質的な面で多分変えるのは困難だろうから、投稿ペースの改善よりも長所を伸ばす方向に力を入れるべきなのかも。はぐれメタルに「HP上げろ!」って言ってもしょうがないのと同様に。

 

とはいえ、経験値を取得しないと長所を伸ばすことすらできないわけで、書くのが遅かろうと何だろうとたまには投稿しないといけないのも事実。

どの作品をレビューしようか候補はいくつかあって、その中で藤井論理先生の『小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる』 をレビューすることに決めたわ!

ほら、明日本山らのが藤井論理先生呼んで生放送するじゃない?

 

 

ってことは放送前にレビュー完成させれば、本山らのが「王女様がブログでレビューしれますよ!」って宣伝してくれてPV数がこいのぼり……じゃなくてうなぎのぼりになるし、藤井論理先生が「王女様ありがとうございます!」ってお礼言ってくれてあたしの承認欲求は満たされるし、一石二鳥でしょ?

 

マジで承認欲求って大事よ。

あたしはなろうやカクヨムでも応援の感想やコメント投稿してるけど、作者が返信してくれる作品中心だし。

以前読書メーターに『殴りマジ? いいえ、ゼロ距離魔法使いです。』のレビュー書いたことを夢・風魔先生に伝えたんだけど無反応だったし、なろう版にレビューを書いたら「ネットレビュー大賞 応募レビュー」の文面が気に食わなかったのか、数日後には消されてた。夢・風魔先生の作品には金輪際コメントするまいと決意したわ。

好意を踏みにじる人間に感想を書くほどあたしはお人好しじゃない。

  

そうそう、『小戸森さんが魔法で僕をしもべにしたがる』をレビューする理由はもう1つあって、ポルタ文庫は新紀元社のレーベルでしょ?

新紀元社といえば、あたしがパンタポルタにコラム執筆したの覚えてるかしら?

 

www.phantaporta.com

 

あれがあたしの初商業案件だったわけだけど、あたしがコラムを1本しか投稿していないのに対して、本山らのはコラムを7本(「読んでいない名作についてラノベ作家と語る読書会! ~『ジキル博士とハイド氏』編~ - パンタポルタ」も入れれば8本)も投稿してるの! あたしと本山らので格差ありすぎぃ!

だからレビュー書いてポルタ文庫の売上に貢献すれば、新紀元社からの依頼数だってたきのぼり……じゃなくてうなぎのぼりになるはずだと考えたの!

 

というわけでぱん太! 仕事依頼、待ってるわよ!

(今月は忙しいから、来月以降にお願い!)

 

 

作品情報

カクヨムの連載作品。

元々のタイトルは『高嶺の花の小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる』よ。

書籍化にあたり「高嶺の花の」を削ったことで、テンポある言い回しになったわね。

 

kakuyomu.jp

 

前作『はぐれ賢者の魔王討伐リスタート! ~勇者の少女に惚れこまれたので現役復帰してみた~』は1巻完結作品にありがちな普通のラノベだったから、こういう作品も書けるのかと感心しちゃった。

 

kakuyomu.jp

 

「これを売ってみたい!」という作品を書店員から募ってて、本山らのの推薦で書籍化が決まったの。

 

 

 

どんな話かはあたしが書くまでもなくあらすじを読めば一目瞭然だから省略。

書籍版はカクヨム版からブラッシュアップされて書き下ろしもあるみたいだけど、公式サイトに試し読み置いてないし、bookwalkerでも18日になるまでは試し読みできないみたいだから、それまでパンタポルタにある番外編を読んで待つといいんじゃない? 

 

www.phantaporta.com

 

描写の解像度が高い

bookwalkerだと本作はラノベに分類されてるけど、あたしはそう思ってないわ。

(じゃあ「ラノベレビュー」じゃなくて「ライト文芸レビュー」のカテゴリに入れろって批判が来そうだけど、1作品のためだけにカテゴリ新設するのは無駄っぽいし)

 

あたしは内在主義者(ラノベと非ラノベは内容で区別できる立場)だから、内容面に基づいて説明すると、この作品はラノベと比較して描写の解像度が高いのよね。

例えば普通のラノベだったら「花が咲いている」と済ませようとする中、本作では花や動物名の具体的な記述が多いわ。冒頭からしてこれだもの。

 

「園生くんを……、し、しもべにする!」

 黒いとんがり帽子とローブを身につけた、いかにも魔女然とした小戸森さんが僕を指さして叫んだ。その足元では先ごろ咲きはじめた赤や白のカタクリが風にさわさわ揺れていたから、なんだか夢のなかにいるような気分になってくる。

 

花を見て、それがカタクリだと判別できる高校生ってまずいないわよね。

(灘高みたいな名門私立高校生なら文化資本高いからできそうだけど)

 

解像度の高さによるラノベと非ラノベの違いは、『君の名は。』のレビューでも触れたわね。

 

ranobeprincess.hatenablog.com

 

まあメタな話をすれば、藤井論理先生って北海道在住だからカタクリについては聞いたことがあるんだろうけど、それでも「赤や白の」で済ませないあたり、何らかのこだわりを感じるわ。

 

morinet-h.org

 

園生くんと小戸森さんのすれ違いが面白い

ヒロインの小戸森さんは容姿端麗で文武両道なのに、何故か他の生徒には目もくれず、魔法で園生くんをしもべにしたがるってのが男心をくすぐるわよね~。

全男子が憧れる美少女を独占できるってのは最高の栄誉よ。

 

これだけだと普通のラブコメだけど、そこに魔法というスパイスで差別化してるの。

ただ魔法といってもそこまで大掛かりなものじゃなくて、

 

  • スマホにホラーな光景が写る(1話)
  • 木の幹の後ろを通る間に早着替え(2話)
  • 催眠術(失敗)でLINEのIDを聞き出す(3話)
  • 地獄の業火(天ぷら火災レベル)でルーズリーフを跡形もなく燃やす(4話)
  • 15時~17時の予定だったけど早朝に雨を降らす(5話)
  • 棒アイスの当たる確率を20%に上げる(6話)
  • ホウキで舞い上がる(7話)
  • スマホカメラで2人の未来を覗き見(9話)
  • 習字の小筆で空を飛ぶ(10話)
  • 折り紙のやっこさんを動かす(11話)
  • 時間系魔法で過去の自分にモデル勧誘を断ってもらう(13話)
  • オーブンの焼き時間を短縮(14話)

 

みたいに、クスッとできるタイプ。あくまでも「スパイス」ね。

「魔法を使えるけど、スケールが小さい」ってとこに「文武両道だけど、内面はアホっぽい」って小戸森さんの内面が現れてるんじゃないかしら。

 

3日間にわたる相合い傘のすれ違いは一番面白かったわ。

明日の生放送で朗読してほしいわね。爆笑間違いなしよ。

 

不満点

ライト文芸だから仕方ないのかもしれないけど、あとがきがないの!

一般小説の読者ってあとがきが嫌いなのかしら?

 

togetter.com

 

ただ、あたしはラノベ読みだから、やっぱりあとがきが無いと寂しく感じるのよ!

 

仮に本作2巻が出版された世界を想像してみなさい!

もしあとがきがあれば、「カリスマラノベブロガーのラノベの王女様、レビューありがとうございました! 美少女にレビューされるとやっぱり癒やされますね!」なんて書いてあった可能性が濃厚だったのよ!

 

あとがきがない小説なんて、メロンの入ってないメロンパンと同じだわ!

 

イラストが表紙だけってのもそうよ!

魔女のローブに身を包んだ小戸森さんとか、猫と視線の高さ合わせてコミュニケーションする小戸森さんとか、絵にしたら映えるシチュエーションがいっぱいあるじゃん!

くろでこ先生の挿絵がないなんて残念すぎるわ !

 

これじゃメロン果汁が外側にしか含まれてないメロンパンよ!

 

小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる (ポルタ文庫)

小戸森さんは魔法で僕をしもべにしたがる (ポルタ文庫)