文化資本マシマシの現役医師*1作家である津田彷徨先生が、『ネット小説家になろうクロニクル』なんて作品を投稿したみたい。
「様々なネット小説の攻略法やテクニックを伝授してくれる親友や書籍化作家、漫画家を夢見る美少女、そして立ちはだかる無数のライバルたち。 混沌と昆明のネット小説の世界で、少年は小説家という二度目の夢をつかむことができるのか!?」ですって。熱いあらすじだわ。
第一話なんてタイトルが「ネット小説ってもしかしてめちゃくちゃ面白い!? 怪我でサッカーの夢を断たれてしまった僕が、これまでの人生観が変わるほど半端ない小説投稿サイトに出会ってしまった件について」だしね。これは引き込まれるわね。
作品紹介はここまでにして、あたしが驚いたのは第一話のあとがきよ。
本作品に関しましては、ネットサイトから小説家を目指すための小説ということで、執筆・制作にあたり多くの先生方の様々なご協力を頂きました。(以下なろうのユーザID順)
みかみてれん先生 (勇者イサギの魔王譚)
藍藤遊先生 (グリモワール・リバース)
暁なつめ先生 (この素晴らしき世界に祝福を)
快くご協力頂きました上記先生方に、この場をお借り致しまして改めて深く御礼申し上げます。
この錚々たる顔ぶれ!
長月達平先生や理不尽な孫の手先生に構ってもらえる。羨ましいったらありゃしないわ。しかも、twitterやってない暁なつめ先生とも交流してるし!
『このすば』の熱狂的なファンであっても、サイン会以外では暁なつめ先生と話せる機会なんて、ましてや自分にアドバイスしてくれる機会なんてまず無いのに、例え作品のファンでなくとも*2、作家デビューしていれば相手にしてもらえるチャンスが舞い降りるわ。
プロになれば、憧れの人物と深い繋がりが持てる。
プロになれば、憧れの人物が時間を割いて話してくれる。
言い換えると、プロでなければ――他者から承認され、同じ世界に所属していなければ――誰も相手にしてくれない。
売れてない時から応援し続けてようが、初単独ライブで最前だろうが、時が来ればあっさりブロックされるのが名も無きモブキャラの運命。
『ボイス坂』の主人公である沙絵は、名門中高一貫校生にも関わらず大学ではなく専門学校の声優科に進んだけど、あたしは彼女の選択を非合理だと思わない。
沙絵には学歴以外の長所がなかった。絵が描けるわけでも、スポーツが上手いわけでも、ピアノが弾けるわけでもない。他人を唸らせるスキルがない。
他人から認められなければ、いくら高学歴でも明るい未来は来ないわ。前回の記事のように、大学院卒で手取り一四万の高学歴ワーキングプアへと落ちるだけ。
サラリーマンだろうとフリーランスだろうと、独りでは金銭を稼げないのだから。
人生を変えるには、承認欲求を満たすしか無い。
沙絵も、ワナビも、そしてあたしも、舞台に立つために今日も奮闘し続けるわ。
ボイス坂―あたし、たぶん声優向いてない (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 高遠るい
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/08/24
- メディア: 文庫
- 購入: 15人 クリック: 528回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
*1:医学部入試の文化資本論 ~ 医学部の入学選考はいかにあるべきか - Togetterまとめ
*2:津田先生はファンだと思うけど。