「未開の地で芸術を愛でようと思ったら、いつの間にか建国してました! 」
タイムスリップした女魔導士がメイド人形と一緒に未開の地で活躍する無意識系成り上がりストーリー。
ルーシェ教の謎に迫る書き下ろしエピソードも収録。
大好きだった芸術が戦争によってなくなってきたことに嫌気がさした女魔導士は、時間凍結魔法によって戦争後の世界に行くことを決意。
2000年後に目覚めてみると、周りは未開の地になっていた。
生体ゴーレムのメイド人形と原始生活を始める女魔導士。
やがて村人との出会いによって、女魔導士の立場は一変していく。
芸術に囲まれたスローライフを求める女魔導士の夢は、果たして叶うのか――。
女魔導士の開拓記、いま開幕!
書籍化前からずっと注目してた作品。
『シャチになりましたオルカナティブ』みたいな構成で、おきらくな女主人公ルーシェの一人称で綴られるスタイル。これは絶対本になるって確信してたわ。
裏表紙のちびルーシェがとっても可愛いの!
タイトルは軽いし、あらすじからはドタバタコメディっぽい雰囲気がするし、佐々木さざめき先生の感想返信やツイートを見てても、明るい雰囲気しかないけど、作品世界は結構過酷。
戦争で芸術がどんどん破壊されて、とある事情(外伝で明かされる)で人類が大勢死に絶えて 、文明は原始生活レベルまで戻るというポストアポカリプスっぷり。
ファンタジーだと思ったらSFだった。そんな作品。
「何これ?」
最初に驚いたのは、その村の造りの酷さだったわ。
周りにいくらでも材料はあるだろうに、枝を集めて積み上げただけの簡易な家。
村の周りには柵が巡らしてあったけれど、これも枝を適当に集めて、縛り付けただけのシロモノだったわ。防げるのはウサギが精々でしょう。村の真ん中にある建物が一番立派だったわ。
「なるほどね。それで人口はどのくらいで、経済体系と政治体系はどうなってるのかしら? 王様がいるんだから王政だとは思うけれど、民主制の度合いも知りたいし……」
「あ……はあ!?」
「え? あの?」
あー、これではダメっぽいわね。最低限だけ確認しましょう。
「えっとね、その都にはどのくらいの人が住んでるか分かる?」
「沢山だ!」
「ええ、とっても沢山です」
「……」
OK、沢山ね。
あたしだったら、こんな状況に放り込まれたら発狂しちゃうかも。
ラノベのない世界で生きるだなんて絶対無理。メロンの入ってないメロンパンだわ。
でもルーシェはいつも前向き.。
世界から芸術がなくなりつつあるのなら、芸術のある別の世界に行けばいい。
衣服がないなら、葉っぱで作ってしまえばいい。
知り合いがメイド人形ただ一人で孤独なら、もっとメイド人形を作ればいい。
文明が衰退しているのなら、自分の手で発展させればいい。
このおきらく思考が、本作の読後感を爽やかにしてくれてるわ。
おきらく女魔導士とメイド人形の開拓記 ~私は楽して生きたいの! ~ (ツギクルブックス)
- 作者: 佐々木さざめき
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
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