とある王女の書評空間(ラノベレビュー)

二次元世界のエリート美少女による、宇宙一クオリティの高いラノベブログよ!

異世界はいい世界?――『暗黒ハローワーク! 俺と聖母とバカとロリは勇者の職にありつきたい』

暗黒ハローワーク! 俺と聖母とバカとロリは勇者の職にありつきたい (角川スニーカー文庫)

 

日本で勇者目指してみました!? 生きづらい世の中で本気でバカした物語。

「この物語は俺、日暮英治がこの現世で過酷な実習を乗り越え、勇者の職を得るまでの、愛と感動の――」
「エイジ! あんたマトモな努力してないじゃない!」
「あらすじくらい格好よくキメてもいいだろ! お前らのせいで東京駅じゃ警察に捕まりかけた上に、補習までさせられたんだぞ!!」
「【村人に話を聞く】実習で失敗したからって怒らないで。エーちゃんは、やれば出来る子だってお母さん信じてる」
「お前はお母さんじゃねえ!」
「えいたん、表4は作品アピールをするところなのです。文字数の無駄遣いはやめるのです」
「うるせえバカロリ!!」
そんなわけで、現世で始める暗黒ハローワーク! スタート! 

 

sneakerbunko.jp

 

kakuyomu.jp

 

第一八回スニーカー大賞で優秀賞を受賞し、フランス書院顔負けの際どい描写が話題となりアニメ化も果たした『魔装学園H×H』や、閉じ込められたゲーム世界で、バイト先の上司を奴隷扱いしておっぱい揉んだりする禁断の背徳感が味わえる『エクスタス・オンライン』で有名な久慈マサムネ先生の新作。

発売日に買ったまま積読してたんだけど、ふと目にした村人のレビューがノリノリで面白かったから速攻で読み切ったわ。

 

murabito1104.hatenablog.jp

 

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タイトルやあらすじがカオスで異世界ものなのか現代ものなのか世界観が闇鍋みたいにごっちゃだけど、あえてジャンル分けするなら異世界転移コメディかしらね。

ただ、従来の異世界転移ものとは結構テイストが違うわ。

 

一般的な作品では異世界に転移したらしたっきりで普通は戻れない(あるいは戻る方法が見つからない)から異世界に行くのは重大イベントだけど、この作品ではアルバイトや旅行で気軽に行き来できるシステムが確立されてるみたいなの。

「ちょっとコミケ遠征に行ってくる」みたいなノリで異世界に行くのかしら?

 

あと、普通は転移って「死んだらいつの間にか異世界だった」「たまたま女神に選ばれた」みたいに自分の意志ではどうにもできない受動的な要素だったけど、『暗黒ハローワーク!』世界の転移はかなり能動的でしかもカジュアル。

 

上でアルバイトや旅行について書いたけど、なんと就職をするにあたっても異世界のお世話になるのよ。異世界の神々が、ビッグサイトで合同企業説明会ならぬ「合同勇者説明会」を開催して、勇者として活躍してくれる人間をリクルートするの。異世界の住人を相手に自己PRをして、「内定」を受けたら異世界で活躍できるってわけ。

 

勇者希望者が多いのか、この世界には勇者育成の専門学校――通称ハローワーク――があるほどの盛況っぷりよ。

やってることは完全に就活で、異世界側は職場環境や福利厚生がいかに素晴らしいか力説するし。

 

「――というように、神エンリルが運営する、私たちのエンリル界において、勇者の仕事は大変な面もあります。強力なモンスターもいますし、すでに百年という長期政権を維持している魔王もいます」

(略)

「でも、その分福利厚生が充実しているのが、うちの世界の売りなんですよ? 住宅補助として温泉付きの屋敷が無償で提供されますし、医療手当として、エンリル界の主要都市では無料で治療が受けられます」

(略)

「それと大きな特典としては、一定期間を過ぎて現役勇者を引退すると、その後は平和で優雅な別荘暮らしをご用意します。勿論、まだ現役を続けたければ、他の仕事を斡旋しま……あら?」

 

求職者側は自分がいかに優れてるか必死でPRしてるし。

 

「――わたくしどものキグナ界は、魔法が主体となる世界です」

 説明をしてくれたのは、聖職者の装備に身を包んだお姉さんだった。

「しかし剣士や格闘家などが邪魔者扱いされるわけではなく……むしろまったく逆なんです。なり手が少ないので、どこのパーティでもクエストでも引っ張りだこ。そのせいで、収入も魔法使いよりずっと多いケースがザラにあるのですよ」

 俺はほっとした微笑みを作り、お姉さんに返事をした。

「それを聞いて安心しました。僕らは縁の下の力持ち的な位置ですから……魔法使い系の方々の力になれることを第一に考えていますので、その姿勢を評価していただけるのは、とても嬉しく思います」

 うむ、我ながら優等生な発言。これでお姉さんの評価も急上昇のはず。

 

なろう系だとニートブラック企業勤務者や、最近だとアラフォーのおっさんでも異世界に進出してるけど、この物語だと文化資本高くないと異世界行けなさそう。

いやー、世知辛いわねー。

現実が煩わしいから異世界に憧れてるのに、コミュ力要求されるんじゃ萎えるわー。

 

しかも悲劇はここで終わらないのよね。

就活を乗り越えて念願の異世界に辿りつけても、自慢のチートスキルで好き放題できるかっていうとそうじゃなくて、面倒な規則で雁字搦めにされてるの。

作中で異世界が大企業に例えられてたけどまさにその通りで、魔物との戦闘でさえ無断で行えないんですって。会社勤めは大変だわ。

ていうか主人公達だけじゃなくて魔物もリーマンっぽいし! 

 

 骸骨剣士が大きな溜め息を吐いた。骸骨なのに。 

「君たちさぁ……もしかして学生さん?」

 世間話のような質問をされた。モンスターから。

「え……あ、ああ。まぁ……はい」

「あーやっぱり? 気持ちは分かるけどさぁ、ちゃんとこの世界の勇者の資格を取ってからにしてよ。でないと、こっちも怒られるからさ」

 確かに、この世界の神様と正式な契約を結ばないと、勇者として魔物と戦うことは許されていない。でも、そこは案外ゆるいはずだが……こいつ硬いな。骨だけに。

 俺は出来るだけ凛々しい表情で、骸骨剣士を睨み付けた。

「ま、まあ、確かに規則はそうかもしれないが、勇者志望として、魔物に苦しめられている人々を、黙って見ているわけには――」

 そのとき、場違いな電子音が響いた。

「あ、ごめん。ちょっと待ってね」

 骸骨剣士が鎧の内側を、ごそごそと探る。そして小さな箱のようなものを取り出し、耳に当てると話し始めた。

「あ、もしもし。あ! どーも! いつもお世話になっております」

(略)

「ちょっと仕事入ったんで、俺行くから。じゃ」

 そう言い残し、骸骨剣士はがしゃがしゃ音を立てながら走り去って行った。

 

『昔勇者で今は骨』を思わせる骨ギャグね。タイムリー。

天丼を駆使する手法はGA文庫の『ぜったい転職したいんです!!』に似てる。

久慈マサムネ先生はこの二作を参考にしたのかしら?

 

てか、魔物も携帯持ってるんかいっ!

 

魔物のくせして、人間側と比べて結構待遇いいのよね。

戦闘中でも定時になれば帰れたり、残業時間が増えすぎないようにしてたり。

ほのぼのとしてて和むわ。主人公達はお構いなしに攻撃してるけど。

 

最後に、『暗黒ハローワーク!』を盛り上げるイカれたメンバーを紹介してレビューを締めくくることにするわ!

 

日暮英治!!!!!!!!!! 

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四大賢者の一人だけど、力を封印されて今はただの遊び人!

好き勝手暴れて異世界の住人に迷惑をかける無法者!

 

マリア・ノーラン!!!!!!!!!! 

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あたしと同じ一七歳なのに、英治の母親を気取る超変人!

見た目は美少女でも、中身はおばさんになりつつあるわ!

 

桜木ひより!!!!!!!!!! 

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ロリで敬語で中二病な、物理で殴る魔法使い!

スニーカー文庫だけど、明らかに出る作品を間違えてる!

 

初音鶯!!!!!!!!!! 

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誰に対しても上から目線のお嬢様!

それでいて実は承認欲求が高いチョロイン!

 

鶯はあたしの一番好きなキャラね!

生意気すぎて、おっぱい揉んで屈服させたくなっちゃう!

『ライフアライヴ!』といい、ゆーげん先生はおっぱい大きい美少女が上手だわ!

 

ライフアライヴ! キミと始める学園総選挙 (MF文庫J)

 

特別PVでナレーションもしてるわ!

この声がまたクセになっちゃうの! 聞いてみなさい!

 

www.youtube.com

 

ただモノクロイラスト三枚は少なすぎよ!

なんか事情あったんでしょうけど、読者からすれば大ショックだわ!