とある王女の書評空間(ラノベレビュー)

二次元世界のエリート美少女による、宇宙一クオリティの高いラノベブログよ!

ベイルとルナのイチャイチャが甘々で初々しい!――『聖女様を甘やかしたい! ただし勇者、お前はダメだ』

聖女様を甘やかしたい! ただし勇者、お前はダメだ

 

あらすじ

ヘタレなハイスペック神官(元暗殺者)×ドジっ子で照れ屋な癒しの聖女様

愛を知らない青年、聖女様を連れて駆け落ち! ?
二人の仲を引き裂く神へ抗う叛逆の純愛甘々ファンタジー!
合計23,000字超、書き下ろし番外編(4本)も収録!

教皇国で最強の暗殺者として恐れられている神官ベイル。彼は普通の穏やかな生活への憧れを胸にしまい、心を殺したような日々を過ごしていた。
そんな彼を変えたのが癒しの聖女ルナ。明るく可憐な彼女に一目惚れしたベイルは、囚われの身である彼女を連れ出して片田舎の教会に身を隠すことに。
このまま二人は結ばれるのか?――と思いきや、お互い初恋の二人はヘタレて恥じらってばかりで距離は一向に縮まらない。
更にはルナを狙う教皇国の追手や女好きの勇者が次々と現れて、二人の恋路を邪魔する。
聖女様の平穏な生活を脅かす奴は容赦しない! 不器用な神官と聖女様の逃避行の行方はいかに! ?

 

『戦慄の魔術師と五帝獣』で有名な戸津秋太先生の新作。

……といっても発売は去年の一月だけど。

 

プロ作家になる人間って、早熟な傾向あるわよね。 

五帝獣刊行時は「現役高校生作家」って触れ込みだったけど、中学生の時点で何十枚何百枚も書いてる。

あたしがブログに書いた文字数より多いかも!?

 

 

ただ五帝獣はデビュー作だけあって、荒削りな面が多かったわ。

読書メーターにも書いたけど、キャラが多すぎて覚えるのが大変なのよね。

 

例えば三巻だと、口絵で女子を六人も紹介してるわ。

それだけでも多いのに、イラストになってないキャラは更にいて、ラナ(公爵家当主)・レイラ(生徒会長)・グラエム(補佐会二年)・セリア(グラエムの幼馴染)・ユニス(精霊術師二年)・アドニス(生徒会四年)・ベイル(生徒会三年)・アネリ(生徒会三年女子)・グレン(メガネ七公家)と新キャラがいっぱい出てくる出てくる。

二巻までに多分口絵で出てきたゲイソン(フェイの友人)・ブラム(フェイの弟)も含めれば、最初の僅か二話四〇ページの中に一一人も非口絵登場の名前付きキャラがいる(ラナは白黒イラストあるけど)ってどうなのよ! 密度高すぎぃ!

しかもこの後にフォルズだのトレントだのアンナだの、更に増えるし!

 

……とまあ、レビューが五帝獣批判から始まっちゃったけど、こう見えてもあたしは戸津秋太先生を結構尊敬してるの!

だって、あたしの年齢以下のときにプロになってお金稼いでるわけでしょ?

一七歳のあたしが見習うべき点はいっぱいあるわ! 

 

あたしは戸津秋太先生から少なからず影響を受けてるわけだけど、実はあたしも戸津秋太先生に少なからず影響を与えてるのよ!

 

 

 

あたしと戸津秋太先生は、互いに技術を高め合う関係なのかも!?

きっと戸津秋太先生はあたしのブログたまにアクセスして情報収集してるだろうから、レビューを書けば取り上げてくれて、アクセス数はこいのぼり……じゃなくてうなぎのぼりになるはずよ!

 

……読書メーターにレビュー書いたの知らせたときは反応なかったけど。

 

 

作品情報

元はなろう連載作品で、戸津秋太先生初のラブコメ

 

 

『戦慄の魔術師と五帝獣』『不屈の勇士は聖女を守りて』『邪竜を倒した剣聖ですが目覚めたら魔法使いとかいうモヤシ共がのさばっていました』『辺境暮らしの大賢者』に続く五シリーズ目ね。

売上が好調なのか(あるいは宣伝に熱心なのか)、コミカライズもされてるわ。

 

seiga.nicovideo.jp

 

ベイルとルナの甘々で平凡な日常

ベイルは暗殺者なのに、なろう系にありがちな性格悪いかませゲス野郎じゃなくて(主人公だから当たり前なんだけど)「面倒見のいいお兄さん」って感じ。

言われなかったら誰もベイルの素性に気づかないかも。

 

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最強の暗殺者な割に、心が全然穢れてない。

口調も穏やかで、ルナには「聖女様」って呼びかけるし村人との会話は敬語だし。

牧師っぽいと言われてるけど、本当にその適正があるのかも。

 

ルナは聖女だけど長時間日光に当たると日射病になるくらい体が弱くて、強大な力で周囲の人間を導くタイプというよりは、柔らかな癒やしを周囲に与えるタイプ。

 

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ただ、体は弱くても心は強いわね。

強引に拉致されただけじゃなく、脱走を防ぐために監視付きの部屋に幽閉されて周囲は敵だらけといってもいい状況だってのに、突然部屋へと入ってきたベイルに笑みを浮かべて見惚れされるほど。こんな状況でも明るさを失わない。

ベイルが出会ったこれまでの聖女候補は、表情を失った人形みたいだったのに。

 

ベイルもルナもこれまでの人生には色々とドス黒い面があったと思うんだけど、そうした過去における血生臭さや悲壮感にフォーカスするんじゃなくて、今の暮らしの明るさや長閑さにフォーカスしてるのがこの作品のいい所ね。

教皇国から逃亡して、神や神殿からの束縛から開放されて、二人が生き生きしてる。

 

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一緒に食事をしたり、一緒に買い物したり。

そんな何気ない日常で交わされる二人のやり取りが微笑ましく映るわ。 

 

互いを補い合うベイルとギリアンが熱い!

ベイルとルナの間に立ちはだかるのが勇者のギリアン

口絵だと表情が嫌らしくて、いかにもな悪役って印象を与えてくるわよね。

 

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実際初登場時の印象は最悪。

自分が神に選ばれたのをいいことに、悪態をつくわルナを見るなりナンパするわ、傲岸不遜で女好きの礼儀知らず。

 

けれど、本編を読み進めて行くとギリアンへの見方が変わってくるのよね。

口は悪いけどベイルの実力を認めてるし、魔獣との戦いでベイルに油断しないようアドバイスしてくれてるし。

 

神に選ばれたなら、大勢を救うために力を使うべきだ。そう考えているギリアン

神に反逆し、たった一人を守ろうとするベイルの姿は、そんなギリアンからしてみれば自分にできなかった生き方をしてて羨ましく見えたわけで。

まあ、ベイルも同様にギリアンを羨ましく思っているわけだけど。

 

不満点

口絵の実質的な少なさ

面白い作品だからぜひとも読んでほしいんだけど、不満点もいくつか。

 

まず口絵の情報量が少ないこと。

口絵は二枚あって、さっき上げたギリアンのやつと、もう一枚は表紙と同じもの。 

 

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差分だったらまだ分かるけど、これじゃ実質口絵一枚で寂しいわね。 

予算とか納期とか大人の事情があると思うんだけど、読者目線になって欲しいわ。 

 

年齢に関して

情報の分散 

メインヒロインなのに「ルナって何歳だっけ?」と本編を何度も読み返す羽目になったわね。マジで大変だったわ。情報の開示が遅すぎ。

ベイルの年齢に触れてるのが七ページなのに、ルナは三六ページになってから。

別にミステリー小説でどんでん返しするわけじゃないんだから、聖女の話になったらそこで年齢についても書けば良くない? そこまで引っ張るほどの情報じゃないでしょ。

 

本文の矛盾 

ルナの年齢はまだ「書いてあるページを探すのが面倒」ってだけで済むけど、ベイルの年齢に関しては色々言いたいことがあるのよね。

本編からベイルの年齢に触れてる描写を抜き出してみたわ。

 

近しい年のものが傍にいれば、拠り所とするであろう。そして拠り所となでば、何か弱みを握ることも可能だ。第一天神官、ベイル・ベレスフォード。そなたは少女が死ぬような事態にならないよう精神状態を観察、心の拠り所となれ」

 それは、ある意味では今までに受けた任務の中で最も残酷なものだ。

 一九のベイルと年が近いということは、その少女の年齢は同じかそれより下。

 

 最初は神殿の命令通り冷徹に、機械的にルナと接していたベイルであったが、いつも笑顔を絶やさない彼女に惹かれ、次第に親睦を深めていった。

 そして、監視の任務についてから三年ほどが経ったある日、ベイルはルナを連れて教皇国を逃げ出したのだ。

(略)

 以来一年間、ベイルとルナは共和国の辺境の村の教会で、牧師と聖女として村民たちと穏やかな生活を送っている。

 

「うがぁー、今日も一本も取れなかった!」

 水音が響き渡る教会のシャワールーム。

 その音に混ざって、ヒースの悔しげな声が木霊する。

「当たり前だ。どれだけ歳が離れていると思ってるんだ。お前に負けたらそれこそ俺のプライドがズタズタだ」

 今年十二になったばかりのヒースにたいして、ベイルは二十一歳。

 

 年頃の女の子は、料理や裁縫などに興味を持つものらしい。

 ルナも一七歳。そういう意味では、彼女が今料理に興味を抱き始めていてもおかしくはない。

 

現在におけるベイルとルナの年齢から逆算して、表にまとめるとこうなるわ。

 

時系列 ベイルの年齢 ルナの年齢 経過時間
監視任務就任時 17歳 13歳  
教皇国逃亡時 20歳 16歳 +3年
現在 21歳 17歳 +1年

 

どう計算しても監視任務就任時のベイルの年齢が一七歳にならないんだけど。

 

そもそもの疑問として、四歳差って近いの?

例えば中高一貫校の部活で、高校一年生の生徒に「年が近いから頼むぞ」って理由で中学一年生の後輩指導を任せる? 結構年離れてないかしら?

 

聖女様を甘やかしたい! ただし勇者、お前はダメだ

聖女様を甘やかしたい! ただし勇者、お前はダメだ