あらすじ
ゾンビが生者の肉を喰らう!死と絶望のロードムービー開幕!!
映画好きの青年・江渡木はゾンビが存在し、映画でよくみる出来事が起きる「ゾンビ映画の世界」に転移してしまう。ゾンビ化に抗体をもつ女性・アリスに出会った江渡木は、彼女に一目惚れした結果、「口説き文句」を言ってしまうのだった!
「きみがヒロインの映画を僕に撮らせてくれ!」
かくして二人はカメラ片手に世界を救うため旅立つことに!?
ということで、空伏空人先生のお酒の肴にしてもらうためレビュー。
書く書く言っておきながら、随分長い間待たせちゃったわね。
レビュー書かないでいる間に、無職のサメから働くサメになったみたい。
良かったと思う反面、無職芸が見れなくなるのは寂しいわね。
作品情報
ゾンビ大好き空伏空人先生の最新作(商業出版では)。
先月は四〇〇円で買えるセールをやってた。
セールは終わっちゃったけど、カクヨムで今でも全文読めるわ。
しかも全話にあたしの応援コメント付きよ!
kakuyomu.jp
ちなみにWEB版と書籍版ではこんな違いがあるんだとか。
評価点
アリスがシコれる
イラスト担当は『さんかれあ』で有名なはっとりみつる先生だけあって、アリスのシコリティはかなり高いわね。
うーん、この照れた表情が心のちんこにエナジーを補給してくれるわ!
思いっきり抱き着いて全身の柔らかさを感じたくなっちゃう!
あと、長旅で蓄積したであろう臭いについて触れてるのもポイント。
僕はアリスに近づく。風呂上がりだからか、火照った彼女の肌はいつもよりも上気していた。彼女の顔に、顔を近づける。さらに赤くなったように見えた。鼻をひくひくと動かす。
「な、なんですか?」
「アリスが、臭くない……?」
「どういう意味ですか!?」
アリスが大声を上げた。どういう意味も何も、旅の間、たまの水浴びしかできていなかった彼女は、少々臭っていたのである。
実際、空伏空人先生もTwitterで本山らのに性癖暴露してるし。
一体どんな臭いがしたのか気になるわ。
汗臭いのは勘弁だけど、おしっこ臭いのなら大歓迎! シスターだけに聖水ね!
おしっこの成分が凝縮された、他では体験できない芳醇な香りが期待できそう。
本山らのも臭いの描写に言及して本作を推薦してる。
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「中高一貫校育ちのお嬢様なので大きな声では言えませんが、臭う女の子は私も好きです……w」みたいに思ってるのかしら?
四月に引退しちゃったから、今となっては聞きたくても聞けないけど。
不満点
主人公の楽観的な思い込み
「ゾンビが好きだからゾンビものを書いてみました!」ってのはいいんだけど、やりたいことが先行し過ぎてところどころに違和感を覚えるのよね。
例えば神によって映画の世界に飛ばされた後のこの文章。
ごろんと転がっていたゾンビは、さながらたらふく飲んだ酒飲みのようにゆっくりと起き上がる。左右に体を揺らし、僕と彼女を見る。僕は息をのむ。どっちだろう。どっちのゾンビだろう。
果たして。
ゾンビは「うあぁ」と呻き声をあげて、僕と彼女めがけて歩き出した。足を引きずるように、ゆっくりと。ロメロゾンビだ!
ゾンビ映画のゾンビは、大体二種類に分けられる。
ひとつは『走らないゾンビ』。もうひとつは『走るゾンビ』。
走らないゾンビのことを、僕はロメロゾンビと呼んでいる。ジョージ・A・ロメロ監督のゾンビは走らないからだ。
決めつけるの早くない!?
「今」「目の前のゾンビが」走らないからって、「今後も」「全てのゾンビが」走らないとは言えないと思うんだけど……
神だって「ロメロの世界」じゃなくて「映画の世界」としか言ってないし。
映画版バイオの世界だったら江渡木は死んでたわよ。
www.youtube.com
百歩譲って本作がロメロ映画の世界だと仮定して「ロメロゾンビだから走らない」と書いてあったところで、あたし含めほとんどの読者にとってはロメロなんて全然知らないからそんなこと言われてもピンと来ないんじゃないかしら。
世界観の統一性の無さ
上とも関係するけど、「ロメロあるある」をやりたいのか「ゾンビ映画あるある」をやりたいのか「ホラーあるある」をやりたいのか、軸がぶれてて分からないのよね。
章タイトルの『コープスブライド』はティム・バートンだし、『ミッドサマー』に至ってはゾンビとは全然関係ないし。
あるいは、主人公の名前は映画版バイオハザードから取ってきてるのに、本編では一切バイオネタが使われてないし。
こうした箇所にもロメロの要素を入れてれば、本編の説得力も増してたでしょうね。
プロなんだから、それが呼吸と同レベルにできてないと本当はまずいんだけど。
以上。今日の飲み会では、この記事に対してどんな反応があるのか楽しみだわ。
bookwalker.jp