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とある王女の書評空間(ラノベレビュー)

二次元世界のエリート美少女による、宇宙一クオリティの高いラノベブログよ!

ルビの新しい可能性、しるどら読み――『魔王とアン まったりゆったり世界征服 1』

ラノベレビュー

魔王とアン まったりゆったり世界征服 1 (アース・スターノベル)

 

600年の永き眠りをへて
最強魔王、復活! ! !


かつて大陸全土を圧倒した封じられし魔王オルレアと、その600年の封印を解き放った魔族のアン。

だが、復活した魔王はひたすらのんびりまったりしたいだけで、アンはそんな魔王のそばにいたいだけ。
割と残念でマイペースな2人に、強力な力を持つ魔族の幼女・クェルも加わり、ほのぼのスローライフを目指していたはずだったが……。
なぜか魔王がまったりを目指すたびに、世界がトンデモなことに巻き込まれてしまう。
世界征服まったりファンタジー開幕! 

 

なんと! イラストレーターは貴族。読者は平民。ラノベ作家も平民。 で47AgDragon先生が直々にコメントしてくれた*1の!

 

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やるやる詐欺だった*2『魔王とアン』のレビューだけど、こんなコメントを貰った以上はお礼も兼ねてレビューしないとね!

 

著者である47AgDragon先生は『転生吸血鬼さんはお昼寝がしたい』で「ロリ銀髪丁寧系僕っ娘ねむみ系ぐうたら吸血鬼」のアルジェを描いた実力者だけあって、ゆるふわまったり感の表現がとっても上手なの! イラストだけじゃなくて文章も!

アンの一人称で物語が進行する構成も一役買ってるわね!

 

 強くなるには周りの精気を吸い上げる必要がある。それもできるだけ良質で上質な精気をだ。上質な精気という意味では長く生きてるだけあって魔族だし、そもそも死霊術は魔族に連なる術である。だから人を捨ててからは魔族の周りで過ごしていた時間のが長い。

 なぜ強くなりたいかといえば、それはまったりしたいからである。

 まったりは生活の要であり人生の意味である。ベストでありマストである。

 まったりするから日々の生活が潤うのであるし、多少の苦労も尊いと思えるのである。安心して茶の一つでも飲めぬような状態ではまったりとはいえないし、若いうちはその価値をなかなか理解できない。

 なので、我はまったりを求めるものとして、その生涯を捧げてきた。

 本末転倒のような気もするが、まったりを手に入れるためには大事なことなのである。

 そんなわけで100年ぐらいかけて自ら死霊になり、100年ぐらいかけてちまちまと形を得て、100年ぐらいかけて地道に強くなり、100年ぐらいかけていろいろ試しているうちに死霊王になり、気がついたら魔王になっておった。

 死ななきゃノーライフキングライフも悪くないのだ。まったりし放題である。

 そして、まったりには余裕が必要である。余裕があればこそ余裕を生き、余裕を過ごし、余裕を楽しめるのである。

 まったりは安心感。まったりは嗜好にして至高。

 だから、まったりに乙女であることは大事である。

 なので我はぴちぴちの乙女である。

 なので我はぴちぴちの乙女である。

 大事なことなので2回言った。ここは試験に出るのだぞ。

 

振る舞いやぐーたら意識がアルジェそっくり。似た者同士は引かれ合うのかしら?

 

でね、まったり描写もいいんだけど、もう一つのウリが「しるどら読み」と形容したくなるほど特徴的なルビ!

47AgDragonと書いて「しるどら」と読ませる天才的センスが、作品のいたるところで光ってるの! 例えば帯!

 

 

「47AgDragon(人気イラストレーター)」「デビュー小説(マジかよ作品)」「復活(おめざめ)」「ぴちぴち乙女(ゴスロリこむすめ)」 と、よくもまあこんなルビを振れるものだと感心しちゃうわ。

建前/外見と本音/内面を同時に描写する秀逸な手法ね。

本文中で用いられてる「しるどら読み」を全てリストアップしたのが次よ。

 

  • 魔王はわがまま(わがままおう)
  • 天罰(デコピン)
  • 様式と伝統(おやくそく)
  • 瘴気(えんがちょ)
  • 湯船に浸かり(ほへーとしながら)
  • 特盛りA定食(てんこもり)
  • スーパーパワー(ちょちょいのちょい)
  • 新しい未来を模索(さっさとげんじつとうひ)
  • 一人前(ひとりきり)
  • 冒険者(ごろつき)
  • 生活圏(ナワバリ)
  • 反省房(おしおき)
  • 鎧の魔族に関して(やっかいごと)
  • 辺境(はしっこ)
  • 始まり(いっちょあがり)
  • 罪悪感ハンパない(イジメカッコワルイ)
  • 上級編を申し付ける(はんぶんこするがよい)
  • 荒唐無稽(ぶっとび)
  • 特盛りA定食(ふとりそうなもの)
  • 変な小娘(うまのほね)
  • 謎の小娘(ミステリアス)
  • 外交(たにん)
  • 内政(じぶん)
  • 鉄の心臓に毛が生えたよう(センチメンタル)
  • 道楽隠居魔王(ひまじん)
  • だいぶ変(まおう)
  • 魔王(こせい)
  • 運良く(ごっつぁん)
  • 生まれながらの(ナチュラルボーン)
  • 社会活動(なぐりあい)
  • 公明正大(えこひいき)
  • 素敵に不敬罪(くびちょんぱ)
  • 魔族(おとな)
  • 確実な手を打つ(きれいにごまかす)
  • 心の汗(なみだ)
  • 夜這い(ねぎらい)
  • 前向きな恥知らず(まっすぐなバカ)
  • 祝賀会(パレード)
  • 話が通じる(こいがはじまる)
  • 呪いのアイテム(デザート)
  • ケーキ(しあわせ)
  • 朴念仁(わからずや)
  • イヤ(ステキ)
  • 事件(であい)
  • 質疑応答(ツッコミ)
  • 市場調査(かいもの)
  • 飲んで(やけざけ)
  • 食べて(やけぐい)
  • 寝る(ふてね) 

 

従来のラノベでは、特徴的なルビと言えば「神装機竜(バハムート)」「超電磁砲(レールガン)」みたいに、「漢字」に「5~7モーラ」で「4~5音節」の「カタカナ」を当てるのが一般的だとエリートのあたしが、ラノベタイトルのルビを言語学的観点から考察してみたわ!でまとめたわ。

ところが「しるどら読み」にはそれらの条件が一切当てはまらない。

漢字どころかカタカナ(イヤ)や文(魔王はわがまま)に対してもルビを振ってるし、モーラ数や音節数なんてまったく意識してないし、カタカナよりもひらがなを当ててる例(わがままおう)のほうが多いし。

 

47AgDragon先生の母親は絵がめっちゃ上手だから、きっと実家も金持ちなんでしょうね。

文化資本の成せる業だわ。

 

魔王とアン まったりゆったり世界征服 1 (アース・スターノベル)

魔王とアン まったりゆったり世界征服 1 (アース・スターノベル)

 

 

 

*1:「親にすげえ反対され」たのは社会関係資本の話であって文化資本の話じゃないとか、「感情に恐ろしく出来が左右され」るのはラノベ作家も同じなんじゃないかとか、突っ込みどころ満載だけど。

*2:レビューを書こうと決意したのが七月二〇日。