西野亮廣のオンラインサロンにまつわる炎上が話題ね。
元々、主催者である西野亮廣自信も炎上体質ではあるけれど。
「何かで自分を変えたかった」という無職のサロンメンバーが『えんとつ町のプペル』の台本とチケットを八〇セット購入したものの、一セットしか売れず。
それをnoteに投稿したところ、大勢の目に止まり「マルチ」「カルト」「若者を食い物にしている」と炎上したみたい。
業者でない一個人が、数千円する品物をいきなり八〇セット(実際は一〇〇とか一二〇セット売るつもりだったらしい)も売るのは難しいでしょうね。
まずは数セットから始めて、それで売れるのであればもっと増やせばいい。
見切り発車が招いた悲劇ね。
ともかく「何者かになりたい」という承認欲求を持つこと自体があまり肯定的な目で見られず、「現実を見ろ」「何者かになる必要はない」という意見が多数。
一七歳でプロ作家デビュー目指してるあたしには耳の痛い話ね。
ここはラノベブログだからそろそろラノベに関する話をすると、最近なろう系の日刊ランキングが話題になってるわ。
相変わらずなろうのハイファンタジーランキングは人類の欲望が垂れ流しにされておりタイトル読むだけで元気もらえる pic.twitter.com/iA66paLq62
— ぺぐも (@pegumo931) 2021年1月24日
本当でも言っていい事と悪いことがある😢 pic.twitter.com/0j6qoSO8HE
— フロリダちゃん@金髪専門絵描き🎉 (@ryuseihashida) 2021年1月24日
こういった「集団の傾向」に関する議論は往々にして「偏見を生むから」とデマ扱いされがちだけど、「差別に利用されるかもしれないからそれはデタラメだ!」なんて言ってると人間の心理傾向や能力差に関する議論をタブー視するしかなくなるだろうから、そこは気をつけるべきじゃないかしら。
「自分って本当は隠された能力があるんじゃ……」という妄想は誰しもしたことがあるでしょ。
オンラインサロン然り、なろう系のランキング然り、そこにあるのは「一発逆転で人生を変えたい!」という欲望。
そうした欲望に対し「一発逆転なんて狙うな。コツコツ努力しろ」と人は批判する。
けれど問題なのは、コツコツ努力をしたところで期待するほどの成果が出ないこと。
平成25年度 全国学力・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した学力に影響を与える要因分析に関する調査研究から、小六と中三の国語A・数学A(国語Bと数学Bは上記リンク参照)を引用するわ。
次に、「家庭環境の不利を克服には、どのくらい勉強する必要があるのか」について平均値の比較から確認しよう。極端な例として、最も高い社会経済的背景グループ(Highest SES)の児童生徒が全く勉強していない場合、他のグループがどのくらい勉強すれば同程度の正答率を獲得できるのかを示す。図中の○は、Highest SES の児童生徒が全く勉強していない場合の正答率を、他のグループが同等以上の正答率を獲得する学習時間にマークしている。
この点について、小学 6 年生の結果を見ると、最も高い社会経済的背景グループの児童が全く勉強していない場合、他のグループが約「1 時間~2 時間」程度勉強すると正答率を追い越すことができる。ただし、最も低い社会経済的背景グループでは、「3 時間以上」勉強しても追い越せない場合がほとんどである(国語 B だけ追い越せる可能性がある)。
さらに、中学 3 年生の結果を見ると、最も高い社会経済的背景グループの生徒が全く勉強していない場合、Lower middle SES グループの生徒は、およそ「2 時間以上」は勉強する必要がある。その点において、学習時間と学力の関連の格差は学年が向上するほど広がっているといえるかもしれない。
加えて、小 6 年時点と同様に、最も低い社会経済的背景の生徒は、「3 時間以上」勉強しても、最も高い社会経済的背景グループの生徒が全く勉強していない場合の正答率を平均値で追い抜くことができない。これらの結果から、家庭背景の不利を児童生徒個人の学習時間でのみ克服することはきわめて難しいことが示唆される。
「貧乏人は金持ちに勝てない」というこのデータはかなりの衝撃でしょうね。
けれどさらに衝撃的なのは、 Upper middle SESが三時間以上勉強してもHighest SESの一時間未満の勉強に及ばず、 Lower middle SESに至っては三時間以上勉強してようやく勉強しないHighest SESと同等になるということ。
コツコツ努力したところでどうせ勝てないわけ。
誰もが薄々気づいてるんじゃない?
努力しても人間の能力は大して変わらないことに。
「小学校で勉強のできなかったアイツ」が「大学で勉強のできるアイツ」に変わっている例を滅多に目撃しない(そもそも大学まで行かない可能性が高い)のと同様に、「これまで努力しても成功しなかった人間」が「努力したら成功した人間」に変わることだって滅多に起こりえないのだと。
SNSの普及もあって、そうした見方はここ数年で確実に広まったんじゃないかしら。
成功者が語る事は、結果を出した事に理由付けしているというのが半分ぐらいだと思う。アスリートもまずその体に生まれるかどうかが99%。そして選ばれた人たちが努力を語る。やればできると成功者は言うけれど、できる体に生まれる事が大前提。
— Dai Tamesue (為末大) (@daijapan) 2013年10月21日
そこに行動遺伝学などの学問が追い打ちをかける。
研究者が「遺伝を選びます」というくらい、ステータスに対する遺伝の影響は大きいのです。
こうした研究からも、「大人になってからの成長(=ステータスアップ)」などは、ほとんど望めない、と考えたほうが良いでしょう。
だから多分「大人の成長」って、誰かが作り出した虚構なんです。
「コツコツ努力しなければならない分野」は「遺伝的に不向きな分野」であり「諦めたほうがいい分野」ということ。
だとしたら、一発逆転を狙うのは「合理的」な判断じゃないかしら。