とある王女の書評空間(ラノベレビュー)

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【#ヴァンギャル】メロンの存在しない世界でメロンパン職人にフォーカスする愚行――『ヴァンパイアハンターに優しいギャル』

ヴァンパイアハンターに優しいギャル (GA文庫)

 

あらすじ

光のギャルと闇のヴァンパイアハンターが織り成す、デコボコ学園(非)日常コメディ!

 

「私は元、ヴァンパイアハンターだ」
「……マジ?」

どこにでもいるギャルの女子高生、琉花のクラスにヤベー奴が現れた。
銀髪銀眼、十字架のアクセサリーに黒の革手袋をした美少女・銀華。
その正体は、悪しき吸血鬼を追う狩人だった。
銀華の隠された秘密を琉花は偶然知ってしまうのだが――

「まさか、あんた……すっぴん!?」
「そうだが……?」

琉花の関心は銀華の美貌の方で!?
コスメにプリにカラオケに、時に眷属とバトったり。
最強JKには日常も非日常も関係ない。
だって――あたしらダチだから!

光のギャルと闇の狩人が織り成す、デコボコ学園(非)日常コメディ!

 

作品情報

第14回GA文庫大賞銀賞作品。特設サイトもあるわ。

 

ga.sbcr.jp

 

不満点

クソラノベオブザイヤー2023があったら、間違いなく推薦してる。

 

正直なところあらすじや表紙から何となく地雷臭がしたのと、試し読みしたら10ページ読まないうちに自分には合わないと感じたんだけど、琉花が優しいと読書メーターでは専らの噂だったから……ということで購入。

 

 

で、確かに読んでみると前評判通り琉花は優しいキャラなんだけど、はっきり言ってそんなことがどうでもよくなるくらい読んでて退屈な作品。

 

あんた達は本作のタイトルやあらすじからどんな物語を想像したかしら?

試し読みをまだしてないのであれば「実は琉花の正体はヴァンパイアで、それを知った銀華は彼女を殺そうとするが、学校での優しい琉花を思い出して手が止まる。琉花が悪人だとは思えず、殺そうとしたことを謝罪する銀華。それを笑って許す琉花。種族が違っても友情は不滅……」なんて百合百合なストーリーを期待したんじゃない?

 

勇者と魔王。ヴァンパイアとハンター。

敵対する2人が最後に仲良くなるのは王道よね。

 

あるいは、ヴァンパイアといえば文字通り吸血も欠かせない要素だわ。

「美少女に血を吸われたい!」「美少女の血を吸いたい!」って欲望を満たしてくれるのは吸血鬼ものの醍醐味ね。

 

『聖剣学院の魔剣使い』のリーセリアとか、

 

ストライク・ザ・ブラッド』の暁古城とか。

 

さて、本作でヴァンパイア要素はどう活かされてるのかというと……

 

「半年前、狩人同盟……ヴァンパイアハンターの組織は、世界規模の殲滅戦を計画した。そして数ヶ月間の戦いの末、最後のヴァンパイア、アルベルト・フォン・ディッタースドルフを討伐し、私たちは世界からヴァンパイアを撲滅した

 

ヴァンパイアのいない世界でヴァンパイアハンターの物語やる必要ある?

 

種族を超えた友情があるわけじゃない。

美少女が吸血してくれるわけでもない。

美少女を吸血してあげるわけでもない。

 

だったら何を訴求してヴァンパイアハンターの物語にしてるの?

ヴァンパイアのいないヴァンパイアものなんて、メロンの存在しない世界でメロンパン職人にフォーカスしてる物語みたいなものだわ。

これで敵キャラが美少女だったらまだ救いようがあったけど、語尾が「ねぇ」だの「ですかぁ」だの気持ち悪い男キャラなのよね。

 

作者も編集も「読者は、タイトルやあらすじからどんな物語を期待するだろうか」って視点を常に持っておくべきだわ。

 

bookwalker.jp