ユニークスキル≪紙使い≫を雑魚スキルだと断定され、【聖剣の団】を追放された冒険者ヤクモ。
しかし、ダンジョン攻略中に仲間をかばった影響で、もう一つのユニークスキル≪魔力極大≫が覚醒! ソロで強大なモンスターを瞬殺してしまう。
そんなヤクモは、心機一転ソロでギルドの依頼を受けることに。
こなす道中、美少女錬金術師アルミーネがモンスターに襲撃されている所に遭遇。
覚醒した力で助けたところ、彼女から自身のパーティーに入らないかと勧誘されて!?
世界で唯一ユニークスキルを二つ持つ男の爽快バトルファンタジー開幕!
『異世界カード無双』は全然シコれそうなキャラいなかったけど、こっちはイラストが福きつね先生担当ってことで表紙買い。
ラ研のよしみってのもあるけど。
作品情報
WEBの書籍化。まあ定番のパターン。
評価点
福きつね先生のイラストが可愛い
ラノベに留まらず、『おチビがうちにやってきた!』『12星座男子』といった児童書の分野にも活躍の場を広げている期待のイラストレーター、福きつね先生。
メロンのような大きさの揉みたくなるおっぱいとか、思わずつまんでみたくなりそうなむっちりした太ももとか、ボリュームのあるロングヘア―とか、「福きつねスタイル」とでもいうような、一目で分かる画風が印象的ね。
今年だけでもう一〇冊以上担当してると思うんだけど、そんな速筆にもかかわらずクオリティが落ちないんだから、まさにプロフェッショナル。
不満点
本作ならではの特色がない
あらすじを見ての通り、内容はよくある追放系のテンプレをなぞってる作品で、ぶっちゃけわざわざ読むほどでもないってのがあるのよね。
しかも単行本だから値段は文庫本の二倍するってことも考慮すると、購入になるとハードルはますます高くなるわけで。
あと書籍化したけどパッとしない作品にありがちな特徴として、敵の扱いが雑。
ダグルードや女王蜘蛛が美少女で、倒した後仲間になるって展開ならキャラ人気が出たかもしれないのにもったいない。
いい作品は敵も魅力的に描くものよ。
説明の仕方が下手
これは主観的だけど、ところどころ違和感を覚える描写があったわ。
例えば主人公は【紙使い】だけじゃなく【魔力極大】のスキルも最初は持ってたの。
けれど、四歳の頃に原因不明の高熱で【魔力極大】のスキルを失うわ。
読者からすれば「もしかして、これは何かの伏線なのか?」と期待するんだけど、結末は「ゴブリンの投げたハンマーが側頭部に当たったおかげで【魔力極大】のスキルが復活した」という驚愕のオチ。
……もうちょっと、なんとかならなかった?
あと、作者が紹介してるキナコというキャラについて「チュル酒というお酒が好きです」と書いてあるんだけど、本編でチュル酒についての説明は全くなかったわ。
新作「雑魚スキル」と追放された紙使いには、お気に入りのキャラが何人も登場します。
— 桑野和明(久乃川あずき、日高由香) (@momono_kei) 2023年8月30日
その中の一人に、格闘家のキナコがいます。こんなもふもふですが、すごく強いキャラです。
なお、チュル酒というお酒が好きです。
裏設定では、自作の別作品、創造魔法に登場する猫獣人クロと知り合いでもあります pic.twitter.com/WwmnBa6ZuI
名前的にチェリー酒の異世界版なのか、それとも異世界独特のお酒なのか分からないから、「チュル酒の香りが充満した」と書かれても想像しようがない。
とまあ、「自分の文章で読者はどういう想像をするか」が無頓着なのよね。
この課題を乗り越えないと、プロとしては成長できないまま終わるかも。
二巻購入予定は……ないかしら。